やはり名曲だ!ボッケリーニのスターバト・マーテル

オリヴェラスのソプラノが聴きどころ

以前、「vivarte 60CD collection」
収録されている
ボッケリーニのスターバト・マーテル
取り上げ、
「これは名曲だ」と記しました。
チェロ2本の弦楽五重奏伴奏による
ソプラノ独唱、
たった6人による演奏です。
このシンプルさが素晴らしいのです。
その思いは変わりません。
その後に購入したこの一枚も、
やはり心が洗われるような、
素敵な一枚です。

ボッケリーニ
スターバト・マーテル (1781年版)

ボッケリーニ:
 スターバト・マーテル G.532

アナイス・オリヴェラス(S)
グアダルーペ・デル・モラル(vn)
エリサベス・バタラー(vn)
ジョルディ・アルメンゴル(va)
オレゲル・アイマミ(vc)
ハビエル・プエルタス(cb)

スターバト・マーテル」は、
13世紀のフランシスコ会で生まれた
カトリック教会の聖歌の一つです。
日本語ではしばしば「悲しみの聖母」と
訳され、親しまれています。
中世ヨーロッパの詩の中でも
極めて心を打つものの一つであり、
わが子・イエスが磔刑に処された際、
十字架の傍らに立っていた
母・マリアが受けた悲しみを思う
内容となっている、とのことです。
なんと中世以来、
西洋音楽の多くの作曲家が
この詩に曲を付けているのだとか。
中でも古楽・バロックでは
ペルゴレージ、パレストリーナ、
ヴィヴァルディハイドン
近現代では
ロッシーニ、ドヴォルザーク
プーランク、シマノフスキ、
ペルト、ペンデレツキなどの作品が
著名なのだそうです
(私のCD棚では
ロッシーニ、ドヴォルザークは
見つけることができた)。

ボッケリーニのこの曲は、
原典版と改訂版とがあり、
改訂版は弦楽合奏に
ソプラノ・アルト・テノールと、
それなりに厚みのある編曲と
なっているのですが、
本盤で採用されている原典版は
弦楽五重奏+ソプラノ独唱と、
極めてシンプルです。
そのシンプルさが無駄をそぎ落とした
美しさにつながっているのです。
現在流通しているCDを見ると、
こちらの原典版の演奏が多いようです。

アナイス・オリヴェラスのソプラノは、
情感に満ちていて、
キリストが十字架にかけられた際の
聖母マリアの悲しみが
見事に表現されています。
vivarte-BOXに収録されていた盤の
歌手ロベルタ・インヴェルニッツィと
比較すると、
表現がはっきりしているように感じます
(インヴェルニッツィが表現を
抑制していると思われるのですが)。
私としてはこちらの方が
聴いていて愉しめました。

演奏者についての情報を得ようと
検索してみたのですが、
多くは得られませんでした。
ヴァイオリンの
グアダルーペ・デル・モラルは、
アンサンブル団体
カフェ・ツィマーマンに
その名を見つけることができました。
また、
チェロのオレゲル・アイマミは
器楽声楽アンサンブルである
リ・アンジェリ・ジュネーヴの一員、
コントラバスのハビエル・プエルタスは
スペインの古楽アンサンブル
「エスペリオンXXI」に参加しています。
6名の音楽家たちは
それぞれ録音こそ少ないものの、
実力派ばかりなのでしょう。。

そもそもCDを制作した
「Enchiriadis」なるレーベルも無名です。
こちらも調べてみると、
「スペイン古楽」を中心レパートリーに
録音活動を行っている
レーベルとのことです。
スペイン人アーティストを始め、
イタリア、スイスや日本の団体
(アントネッロ、西山まりえ)の演奏で、
スペイン中世から18世紀の音楽を
リリースしているようです。

さて、この盤に目をつけた理由は
ただ一つ、安かったからです。
Amazonの
「最後の一枚価格(かどうかは
わからないが)」で615円。
満足です。
やはり、音盤は愉し、です。

(2022.7.10)

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